虹の都へ
「――バカ…ッ」

自分の顔が濡れているのが、涙のせいなのか。

それとも、シャワーのせいなのか。

それすらも、もう訳がわからなくなってきた。

シャワーと一緒に、虹への恋心も流れて行ってしまえばいいのに。

健人とつきあうことになったって言うのに。

なのにあたしは、未練がましく虹のことを思っている。

もうヤだ…。

虹の思いを断ち切れない自分が情けない。

これ以上思ったって、虹があたしに振り向いてくれる訳ないのに。

あたしを選んでくれる訳ないのに。

なのに、期待していると言うように未練がましく、虹のことを思っている。
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