虹の都へ
「あ、ついた」

健人に言われ見あげると、我が家だった。

「わざわざありがとね」

あたしはお礼を言う。

「送り迎えも彼氏の役目だし」

彼氏――その言葉に、ズキンと胸が痛む。

そりゃ、そうでしょ?

健人は、あたしの彼氏なんだから。

ズキズキと痛む胸に、そう言い聞かせる。

「それに、俺がしたいから!」

ニッと白い歯を見せて、無邪気に笑う健人。

その笑顔に、罪悪感を感じたのは気のせいか。

「…ありがとね」

あたしは言った。
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