虹の都へ
できるだけ笑顔で、健人に迷惑をかけないようにと言い聞かせた。

「じゃ、明日な」

「さようなら」

健人に手を振ると、振り返してくれた。

あたしは、中に入って行った。


「ただいまー」

ドアを開けた瞬間、いい匂いが漂った。

あ、そうか。

今日は虹が当番か。

「おう、お帰り」

エプロン姿の虹がキッチンから顔を出した。

「送ってもらったのか?」

虹が言った。

聞いているのは、健人のことだ。
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