虹の都へ
当の本人たちは、あたしたちに気づかない。

笑いながら話をして、ふざけあっている。

まるで、つきあい始めた恋人同士のよう。

何よ…。

何よ…。

何よ…!

胸の中に渦巻く、黒くてドロドロとした醜いもの。

何、勝手にヨリ戻してる訳?

虹はほったらかしですか…!?

「瑞希!」

健人の制止も聞かず、あたしは傘を放り投げて駆け出していた。

冷たい小雨が肌を濡らす。

けど、そんなことはどうでもいい。

向かう先は、2人のところ。
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