虹の都へ
「やっぱり高橋には、好きなヤツと一緒になって欲しい」

好きなヤツと一緒になって…?

それって…?

あたしの心の中を読んだと言うように、
「俺と、別れて欲しい」

目を伏せて、健人が言った。

「好きなヤツと幸せになって欲しい。

それが、俺の願いだ」

そう言った健人の目からは、涙がこぼれていた。

雨に濡れてたから気がつかなかったけど、健人は泣いていた。

涙は、健人の頬をたどるように一筋の軌跡を描く。

本当は、つらい。

別れを言うことが、とてもつらい。
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