虹の都へ
「このマンションに、須藤さんと言う方はいますか?」

「俺だけど」

えっ…?

あたしはもう1度、目の前の人物を眺めた。

二重の切れ長の目。

黒いビー玉のような瞳。

スッと通った鼻。

形のいい紅い唇。

近くで見ると、ますますイケメンだった。

「もしかして、高橋瑞希さん?」

彼に名前を呼ばれ、あたしはハッと我に返った。

「そう、ですけど」

すると彼は驚いたように目を見開くと、
「男かと思った」
と、言った。

「あー、はい…」

そんなことを言われるのは、しょっちゅうだった。
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