虹の都へ
健人の涙を見ながら、あたしは思った。

健人はあたしの腕を見ると、ハッとしたと言うように手を話した。

そうだ。

つかまれてたままだったんだ。

すっかり、忘れていた。

「悪ィ…。

こんなこと言って…」

健人――柊くんがフッと笑った。

目に涙を浮かべながら。

「柊、くん」

あたしは言った。

「ありがとう。

…また、友達でいてくれる?」

そう言ったあたしに、柊くんは首を縦に振って大きくうなずいた。
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