虹の都へ
壁にもたれかかって、不機嫌そうな顔をしている虹だった。

「ごめん…」

あたしは謝った。

「その前に、話してもいい?」

「何の?

と言うか、早めに済ませろよ。

腹減ってんだから」

不機嫌そうな顔の虹をよそに、あたしは深呼吸をした。

「あたし、柊くんと別れた」

言った瞬間、虹が驚いたと言うように目を見開いた。

「別れた…?」

初めて聞いた単語みたいに、虹が呟く。

「いろいろ、あってね?」

あたしは笑って見せた。
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