虹の都へ
「おかしいと思って、尾行したんだよ。

そしたら、瀬名さんと先輩がヨリ戻してた。

こんなことだろうとは思ってたけど、ヨリ戻したなら一言くらい話せだし」

なんてぼやきながら、虹は乱暴に後頭部をかいた。

「それで、別れた。

だから、俺もフリー」

“フリー”を強調するように、虹が言った。

「あーあ。

2人仲良く失恋で、しかもフリーか。

すっげー情けねー…」

虹は大げさかと思うくらいの大きなため息をついた。

「まあ、仕方ないでしょう」

「それよりも、腹減った。

飯まだ?」

「はいはい、今作ります」
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