虹の都へ
“瑞希”って言う名前は女ではそんなにいないから、よく男に間違われる。

お母さん曰わく、亡くなったお父さんが生まれてくるのが男でも女でもどっちでもいいようにと考えてつけたくれたらしい。

…結局は名前を2つ考えるのがめんどくさかったからだろうみたいな話なんだけど。

そう言えば性別書かなかったけなと、ふとあたしは思い出した。

彼は手紙に男だとわざわざ性別を書いたのに対し、あたしは自分は女だと言うことを書かなかった。

まあ、あの時は話が決まったのが嬉しかったから。

自分でそんな言い訳をして、彼を見つめる。

「…よろしく、お願いします」

あたしは言った。

見つめたのはいいけど、それしか言葉が浮かばなかった。

それでも彼はクシャリと笑って、
「こちらこそ、よろしく」
と、言ってくれた。
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