虹の都へ
一面に広がる深い青は、
「――ここって…」

海だった。

太陽に照らされて、キラキラと反射する水面は、まるで宝石のようだ。

あまりにもキレイで、あたしはつい見とれてしまう。

「降りるぞ」

虹にうながされ、あたしは車を降りた。

こんなにも暑いのに、周りには誰もいなかった。

「貸し切りだな」

砂浜を歩きながら虹が言った。

虹の後を追うように、あたしも砂浜を歩く。

「――暑ッ…」

太陽の光をさえぎるように、あたしは自分の顔の前に手をかざした。
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