虹の都へ
「瑞希が先輩の弟とつきあった時も、関係がうまく行ってる時も、正直言って嫉妬した。

まあ、別れて友達になった時は嬉しかったけど」

言い過ぎたと言うように虹は口を閉じ、顔を隠すようにハンチングを深くかぶった。

「虹ってさ」

「ん?」

「意外にも腹黒だったんだね」

「えっ?」

マヌケな声と同時に、虹はマヌケな顔をした。

あまりにもおかしくて、あたしはつい笑ってしまった。

「バカ、笑うな!」

笑われたことに腹が立ったのか、虹はムキになった。

あたしは笑うことしかできない。

虹はただ大笑いするあたしに対して怒るだけだ。
< 189 / 295 >

この作品をシェア

pagetop