虹の都へ
「何って?」

虹に聞き返されてしまった…。

上手に丸めこめられたような気がするのは、あたしの気のせいか。

ますます恥ずかしくなって、虹から顔をそらすとあたしは調理に集中した。

フライパンの中のハンバーグをひっくり返し、裏面を焼いた。

ジューと、ハンバーグはおいしそうな音を立てる。

「だから、何でこうしてるかって……」

焼きあがるハンバーグを見ながら、あたしは聞いた。

虹を見ないのは、多分あたしの顔が紅いからだ。

紅い顔を虹に見られたくないからだ。

「さあ」

虹が言った。
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