虹の都へ

呼び捨て

「ひゃーっ、高いなあ」

あたしと須藤さんが暮らす部屋のドアの前。

あたしは目の前の景色を見ていた。

だって、すごいんだもん。

街を一望できちゃうから。

なんて言うか、独り占め的な?

下に視線を向ければ、マメ粒みたいな人々が歩いている。

すごいなあ。

「ねえ」

その声に振り返ると、腕を組んで壁にもたれかかっている須藤さんがいた。

「いつまでやってるの?」

不機嫌そうに、須藤さんが言った。

「だって、珍しいんだもん。

あたしンとこ、フツーの一軒家だし」

しかも、築30年の木造住宅である。
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