虹の都へ

HANABI

世間は夏休み。

大学も夏休みに入ったけど、社会人はそうじゃない。

「いいよな、学生は」

トーストをかじりながら虹が言った。

「虹にだって夏休みがあるでしょ?」

皿に乗せたベーコンエッグを虹の前に差し出すと、あたしは言った。

「お盆限定で、だけどな」

虹はふうっと息を吐いた。

あたしはそんな虹を見ながら、彼のためにコーヒーの用意をする。

「なあ、瑞希」

「何?」

「土曜の夜って大丈夫か?」
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