虹の都へ
「もう、大丈夫?」

そう言ったあたしに、
「大丈夫じゃないかも…。

じゃ、行ってくる」

虹が言った。

「行ってらっしゃーい」

バタンと、玄関からドアが閉まる音が聞こえた。

つきあってからの、虹との朝はこんな感じだ。

新婚さんみたいで、少し嬉しい。

「新婚か…」

憧れるように呟いて、首のペンダントに視線を向けた。

この間買った半分のハートのペンダント。

虹も、もう半分のハートのペンダントを身につけている。
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