虹の都へ
それにしても、本当に人が多いな。

うっかりしたら、虹とはぐれてしまいそうだ。

なんて思っていたら、手が温かいものに包まれた。

思わず隣を見ると、
「はぐれるなよ」

虹が言った。

虹と、手を繋いでいた。

「探すの大変なんだから」

そこまで言うと、虹は顔をそらした。

虹の顔が紅いのは、頭上にあるちょうちんの灯りのせいだろうか?

あたしはそんなことを思った。

「ねえ、虹」

「ん?」

「りんごあめ買っていい?」
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