虹の都へ
そう言ったあたしに虹はクスッと笑うと、
「別にいいけど」
と、言った。

「虹も買う?」

「俺は…いらない」

虹は困ったように笑うと、首を横に振って答えた。


始まるのは後数分なのに、大勢の人でにぎわっていた。

「すごいね。

花火見えるかな?」

あたしが言うと、
「ライブじゃないんだから、花火は見えるよ」
と、虹が笑いながら言った。

「後何分で始まる?」

「もうそろそろだろ」

虹がそう呟いたのと同時に、派手な音と共に夜空に大きな花が咲いた。
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