虹の都へ
思い出を振り返っているあたしに、
「あのさ」

虹が声をかけてきた。

「何?」

返事したあたしに虹は目を伏せて、
「本当に、俺でいいの?」
と、言った。

「はっ?」

言っている意味がわからなくて聞き返した。

「いや…だって俺、四捨五入したら30になる訳だし。

瑞希はまだ10代な訳で、俺よりも若いヤツが周りにいる訳じゃん」

虹は呟くように言った。

要するに、
「あたしが他の男のところへ行かないか不安だって、言いたいの?」

そう言ったあたしに、
「ッ、んな訳ねーだろうが!」

虹はぶっきらぼうに言ってあたしから目をそらした。
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