虹の都へ
「じゃあ、何て呼べばいい?」

あたしは聞いた。

「フツーに名前だろ?」

名前か…。

「えっと、虹さん?」

すると、不機嫌そうに眉間にシワを寄せた。

何か変なことを言ったかしら?

「そこはフツーに呼び捨てだろ?」

よ、呼び捨て!?

あんた一体、何を恥ずかしいことを…!

いや、男を呼び捨てにすることくらいなれてるよ?

けどそれは同級生で仲のいい男友達限定だったもん。

でも目の前にいるのは、同級生ではない5つも年上の男。

年上を呼び捨てで呼んだことなんてないもんなあ、自慢じゃないけど。

「何、無理なの?」
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