虹の都へ
「お母さんに、よろしくと伝えておいてくれ」

「えっ?」

虹のお父さんは頭を下げると、その場から去って行った。

お母さんに……よろしく?

あたしは、姿が見えなくなってもその場に立ちすくんでいた。


「お帰り」

「…ただいま」

帰ってきたあたしを、虹が迎えてくれた。

「親父と何話してたの?」

「んー?

いろいろ?」

「いろいろって…」

虹が苦笑する。

ごまかしたのは、あたしの中の複雑な気持ちを隠すためだった。
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