虹の都へ
棚からガラスのコップを出し、テーブルの上に置く。

「ねえ、瑞希」

声をひそめ、お母さんがあたしの名前を呼んだ。

「何?」

あたしも声をひそめる。

何故だかわからないけど。

「須藤さんって、『須藤建設』の人?」

「えっ、そうだけど?」

さっきの自己紹介で虹はそんなことを言ったかしら?

「何で知ってるの?」

あたしが聞くと、
「もしかしてと思ったの。

『須藤建設』って、結構有名だから」

コップに麦茶を注ぎながら、お母さんが言った。
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