虹の都へ
「全くもう、夏バテかしらね?」

同意を求めるように、お母さんが言った。

「もう、気をつけてよ」

あたしは苦笑しながら言った。

けど、心の中はいろいろとゴチャゴチャになっていた。

――お母さんに、よろしくと伝えておいてくれ

忘れかけていた、虹のお父さんの言葉が浮かんだ。

あの人は、何でお母さんのことを知っていたのだろう?

それに、あたしのことも。

お母さんも、様子がおかしかった。

“須藤”って言う名字なんてたくさんいるはずなのに、どうして虹が『須藤建設』の人だと言うことがわかったのだろう?
< 247 / 295 >

この作品をシェア

pagetop