虹の都へ
「お帰り、虹」

気がつけば、玄関だった。

また、無意識だ。

そんな俺を、瑞希が迎えてくれた。

――兄妹

その単語が、俺の頭の中に浮かぶ。

俺たちは、兄妹。

瑞希は、俺の妹。

その事実に、頭が痛い。

俺の妹――考えたくもないのに、浮かんでくる。

俺は瑞希に恋をした。

彼女を、愛した。

何も知らずに、ただ愛した。

「なあ、瑞希」

いっそのこと、
「別れないか?」

終わりにしようか。
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