虹の都へ
お父さんは、あたしが生まれる前に死んだんだもん。

「お前の親父は、俺の親父なんだよ!」

叫ぶように、虹が言った。

「お前の親父は死んでなんかいない!

生きてるんだ!

その親父は、俺の親父なんだよ!」

「そんな…」

違う!

言いたいのに、何も言えない。

「だから、兄妹なんだよ!

母親は違うかも知れないけど、同じ血を分けた兄妹だ!

だから…」

聞き終わる前に、あたしは家を飛び出していた。
< 262 / 295 >

この作品をシェア

pagetop