虹の都へ
驚かれるのも当たり前だ。

突然、しかも夜遅くにきたんだもん…。

「ねえ、お母さん…」

「瑞希?」

お母さんは、さらに驚いていた。

あたしは、泣いていたから。

「あたしのお父さんはあたしが生まれる前に、死んだんだよね…?」

声が震えていて、うまく言えない。

「あたしのお父さんが虹のお父さんな訳、ないよね…?」

泣きながら、あたしは言った。

聞いた瞬間、お母さんは悲しそうな顔をした。

あたしから顔をそらすように、目を伏せる。
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