虹の都へ
「ウソだって言ってよーっ!」

あたしは叫ぶと、地面に膝をついた。

視界がぼやけ始める。

コンクリートの地面に、水玉模様のシミができる。

あたしと虹は、兄妹だった。

あたしのお父さんは、虹のお父さんだった。

お母さんは何の否定もしない。

黙って泣いているだけ。

何も言えないあたしは、ただ泣くことしかできなかった。

目の前にある事実に、涙を流すことしかできなかった。


その翌日、お母さんは亡くなった。
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