虹の都へ
「もうすぐか…」

8月のカレンダーを見ると、あたしは呟く。

後1週間だった。

お母さんの3周忌まで。

あたしが事実を知った翌日、お母さんは交通事故で死んだ。

今思うと、お母さんもつらかったのかな。

あたしにウソをついていたこと。

お父さんがいるのに、死んだことにして隠していたこと。

本当は、つらかったのかも知れない。

あたしにお父さんが死んだとウソをつくたびに、お母さんはつらかったと思う。

「全く…」

つらいんだったら、ウソつかなければよかったのに。

つらいんだったら、隠さなければよかったのに。
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