虹の都へ
でもウソをついたのも、隠していたのも、お母さんと虹のお父さんに何かがあったから。

もしかしたら、思い出したくないくらいつらいものだったのかも知れない。

だから、そうすることしかできなかったのかな。

その時だった。

ピーンポーン

チャイムの音が聞こえた。

時計を見ると、午後4時。

夏の夕方は、昼かと思うくらいにまだ明るい。

でも、こんな時間に一体誰だろう?

そう思いながら、玄関に行くとドアを開けた。

「あっ…」

その人物を見た瞬間、あたしは固まった。

その人はあたしと目があうと、小さく頭を下げた。
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