虹の都へ
あたしは首を縦に振ってうなずくことしかできなかった。

「あ…じゃあ、もしかして虹が会社を継ぐの?」

あたしの質問に、虹はピクリと眉を動かした。

あたし、また何か変なことを言った?

「…まあ、いずれはそうなるな」

「いずれ?」

「実際、俺は親父の会社で働いているから」

「そうなの?」

「経理部で、違う名字を名乗って働いてる」

「何で、わざわざ違う名字を名乗るの?」

あたしの質問に、虹はふうっと息を吐いた。

だって、本当にそう思ったんだもん。

働くのに、何で違う名字を名乗る必要があるのかなって。

呆れてため息をつかれたあたしは困ってしまった。
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