虹の都へ
「さっきの続きなんだけど」

「えっ?」

さっきの続き、って何?

「“お父さんがいないからわからない”って、瑞希言ってたじゃん」

あ、そこか。

すっかり忘れていた。

「お父さんがいないからわからないけど、親としてはそう思うのかなって…言いたかったの」

あたしが言うと、
「どう言うこと?」

虹は首を傾げる。

「まあ…要は、悪い虫がつかないようにするためとか」

「んー、どうだか。

会社が大事ってこともあるだろうし」

虹はクスクスと笑った。

つられて、あたしも笑った。

ひとしきり笑った後で、
「とりあえず、部屋はどっちがいい?」
と、虹が言った。
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