虹の都へ
「知らないよ」

サラッと音がしそうなくらいに、虹が言った。

「えっ、ウソ?」

あたしは戸惑ってしまう。

だって、言ってないんだよね?

お父さんは知らないのに、あたしは勝手に住んじゃってもいいの?

「俺が勝手に決めた」

「…バレたら、怒らないかな?」

「別に、大丈夫だろう。

と言うか、こっちが口に出さなきゃいい話だし」

「あー、そうだね」

あたしは言った。

「他は?」

「えっ?」

「他に質問はないかって」

虹に聞かれ、あたしは考えた。
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