虹の都へ
あっ、イケメン。

正確に言うならば、“美人”が似合う男の人だった。

茶色に近い黒髪。

女の人に間違われそうなくらいに整った顔立ち。

フレームのない眼鏡が、彼の美貌を引き立たせているように思える。

スーツ姿からして推測すれば、どこかのビジネスマンみたいだ。

長い足を組んで新聞に目を通している姿は、どこかの雑誌モデルみたいだった。

業務を忘れて、つい見とれてしまった。

「んっ?」

あたしの存在に気づいたのか、男の人が新聞から顔をあげた。

あたしは慌てて我に返った。

「ご、ご注文は…?」

ヤバい…。

見とれてたのバレた?

あたしの心は動揺しまくりだ。

業務中に何やってんのよ!
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