虹の都へ
自分のバカさに呆れてしまう。

あたし、もはや病院に行った方がいいのかも。

「とりあえず、ご飯食べなきゃ」

ベッドのうえに名刺入れを投げると、あたしは部屋を出た。


カチャカチャと、食器の擦れる音だけが目立つ。

虹との夕飯は、だいたいこんな感じ。

一言で言うならば、お通夜みたいだ。

会話なんか、言語道断って感じ。

今日の夕飯は、炒飯だった。

すごいと褒めたいくらい、虹は料理が上手だ。

たぶん、女のあたしよりも上手だと思う。

金持ちの息子だから口先ばかりだけかと思ったけど、ちゃんとできるんだな。

なんて思いながら、あたしはチラリと横目で虹を見た。
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