虹の都へ
「でも、困ってるだろうな」

名刺も仕事のアイテムだし。

あたしはまだ学生だからわからないけど、仕事のアイテムに名刺は必需品だろうな。

やっぱり、電話しようかな。

そう思うと、机のうえの携帯電話に手を伸ばした。

左手に名刺、右手に携帯電話――何つー格好だと、ツッコミを入れて見る。

それよりも、
「あたしは何故ドキドキしている?」

やけに心臓の脈打ちが早かった。

何て言うか、マラソンみたいな激しい運動をしているような…。

電話をするだけなのに、あたしは何をドキドキしているんだか。

忘れてましたって、言うだけよ?

なのに、何してるんだか。
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