虹の都へ
「はあ〜」

深呼吸でもするかのように、長く息を吐いた。

電話の最中、あたしは生きた心地がしなかった。

こんなに緊張したの、何年ぶりかしら?

「それで…12時ね」

言われた時間帯を口に出して言った。

と言うか12時って、お昼の時間じゃない?

会社のお昼休みに取りに行こうってヤツなのね、きっと。

「にしても、疲れた〜」

グタッと、あたしはベッドに倒れ込んだ。


その日の夜、あたしはこんな夢を見た。

場所は、たくさんの睡蓮の花が咲く池。

その池に、ポツンと小さな舟が浮かんでいた。
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