虹の都へ
さっきまで腹を抱えて大笑いをしていたヤツが、一体何なのか。

「本当に何かあった時くらい、俺を頼れ」

そのセリフが、ストンとあたしの胸に落ちた。

「人間、あんまりため込んでいるとよくないんだよ。

時々でもいいから、誰かに話さないと。

耐えることばっかだと、いつかは気持ちが爆発する。

だから…」

だから、“俺を頼れ”なんだ。

「今は、瑞希が話したくないから俺はこれ以上何にも聞かないけど、何かあった時くらいは話してくれ」

「――虹…」

話し過ぎたとでも言うように、虹はふうっと息を吐いた。

「虹」

「んっ?」

「…ありがとう」
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