虹の都へ
こんなことを言うのは、恥ずかしくて照れくさいはずだった。

でも、スルリと簡単にその言葉が出てきた。

と言うか、虹に言わなきゃいけないと思った。

何でかわからないけど。

「瑞希が元気になってくれて、よかった」

ニコッと、虹は優しく微笑んだ。

その笑顔を見た瞬間、胸の中に温かいものが広がる。

頬が熱くなっていくのが、自分でもわかる。

「んじゃ、飯でも食いに行くか」

虹がベンチから立ちあがった。

えっ、飯でも食いに行くか?

ふと空を見あげると、
「もう夜!?」

オレンジ色の空が真っ黒に塗りつぶされていた。

時間の流れは恐ろしい…。
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