虹の都へ
あたしの返事を待たずに、虹はオレンジティーを奪った。

そのまま虹は背中を見せ、ズンズンと前へと進んで行く。

「…あっ!

ちょっと、待ってよ!」

あたしは虹の背中を追うように、歩き出した。

虹って、本当によくわかんないや。

落ち着いた大人の男を見せたかと思えば、無邪気な子供みたいに笑う。

本当に、よくわからない。

あたしがそう思ったのは、本当の気持ちの裏返し。

でも、何も知らないあたしは気づかないんだ。

あたしが虹に対して抱いていた感情に。

けど気づいていたとしても、あたしは知らないフリをしていただろうな。

意地っ張りなあたしのことだから、きっと。
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