虹の都へ
あたしはそんな虹を横目で見ながら、キッチンに行く。

「何か食べる?」

「いや、いい」

虹はひどく疲れているのか、答えるのもめんどくさいらしい。

「水くれ」

冷蔵庫からペットボトルのミネラルウォーターを出すと、リビングに持って行く。

「はい」

「ん…」

虹はふたを開けると、口をつけた。

「ふうっ…」

ため息をつくかのように息を吐き、口からペットボトルを離した。

「それでどうしたの?」

あたしは聞いた。

「そのこと、なんだけどな」

虹は息を吐いた。
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