虹の都へ
その様子からして、何かあったことは確かなこと。

虹は両膝に両肘を乗せると、片手で前髪をかきあげた。

少し垂れた、切れ長の目が現れる。

「あいつ…さっきの女なんだけど、俺の大学時代の先輩の彼女なんだ」

「へえ」

「名前は、瀬名涼子(セナリョウコ)さん」

あの人、瀬名さんって言うんだ。

そのうえ、虹の大学の先輩。

あたしが知らない虹の姿も、彼女ならたくさん知っていることだろう。

そう思ったとたん、胸にモヤモヤしたものが広がった。

何よ、一体…。

変な気持ち…。
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