【中編】まさかの恋



あたしの家の前に着くと、旭は玄関に入るまで見届けてくれた。
あたしは振り返って、遠慮がちに手を振った。




「バイバイ」




すると旭は軽く手を振った。




「あぁ。じゃぁな。おやすみ」




そう言って旭はフッと笑った。




え……。
笑った?旭が笑った?




あたしは普段とは違う。
今までろくに見た事がない笑顔を見て胸がドキッとした。
顔に熱が集中するのが分かる。
あたしは恥ずかしくて顔を隠すと旭は何も言わずにあたしの前から去って行った。




その後ろ姿を見送ってあたしは駆け足で家に入った。
するとキッチンからママが顔を出した。




「あ、真姫。おかえり」




「うん。ただいま」




軽く返事をしてあたしは顔を隠しながら階段を上がって部屋に駆け込んだ。
そしてベッドに倒れて顔を埋めた。




まだ……ドキドキしてる。





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