【中編】まさかの恋
「あ!出たよ出たよ!」
湯田先輩とは違う黄色い声援。
それを聞いてあたしはピクッとする。
その声援を涼しい顔で流すのは……。
「旭君も大分人気だよねー」
早瀬旭。
あたしのパパとママのお友達。
優雅にぃと楓ちゃんの息子。
つまりはあたしの幼馴染。
昔はあたしより背が小さくてさ。
何かと“姫ちゃん”って呼んでたのにさ。
今ではめきめきといい男に成長中。
あたしより小さかった背は、今では155センチのあたしを遥かに越えて178センチ。
中学の頃短かった髪は、伸ばして染めて茶色にして。
おまけにワックスで遊ばせて。
何でも小学生から続けてたサッカーは、才能があるらしく。
1年でレギュラー。
顔も優雅にぃに似て格好いいし。
あのぶっきらぼうな所がいいらしく。
女子は黙ってない。
何がいいんだろう。
あんな意地悪で生意気な奴。
だってまた言うけど、パパのが格好いいし!
ママとパパは幼馴染から恋に発展した訳だけどさ。
あたしと旭は、あり得ないでしょ。
タイプじゃないし。
あたしのタイプは、優しくて紳士的なパパなんだから。