【中編】まさかの恋



不意に涙が込み上げてきた。
みるみる涙はあたしの視界を奪って、ぼやけてしまった。
あたしは涙を服の袖で拭いながら俯いた。




こんな顔じゃ……旭に会えない。
具合が悪くなったって先に帰ろうかな。




あたしは涙をもう一度拭って立ち上がった。




胡桃にも同じ理由で帰るってメールしとこうかな。




あたしはバックから携帯を取り出してメールを打とうとした時。
電話がかかってきた。
あたしは画面に表示された名前に唇を噛み締めた。




……旭。




あたしは泣きそうなのを堪えて通話ボタンを押して携帯を耳に当てた。




「……はい」




『あ、真姫?』




低い声が……耳に響く。




あたしは唇を噛み締めて声を出した。




「うん。何?」




素っ気ない返事。
でも、これが今のあたしの精一杯の返事だった。




『お前今どこにいんの?』




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