【中編】まさかの恋



「ご褒美に……キス」




意地悪な笑顔であたしを見つめる旭。




「え!?」




あたしは旭の発言に驚いていると、旭は自転車を止めてあたしの腕を掴む。
そして自分の方に引き寄せると、そっと唇を重ねた。




あたしのファーストキスは、ホントに一瞬のような出来事で。
触れたかも分からないくらい一瞬だったけど。
あたしの心臓を暴れさせるには、十分のキスだった。




お互い真っ赤な顔を見合って、あたし達は微笑むと、旭はあたしの頭を撫でて囁くように言った。




「……帰っか」




「……うん」




あたし達は幼馴染。
昔からずっと一緒の腐れ縁。
相手のいいとこも駄目なとこも全部知ってる。




でも……これからはもっと。
もっと、もっと……。
あたしの知らない姿を見ていきたいって思うのは。
きっと……あたしだけじゃない、よね?




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