【中編】まさかの恋
ボーっと考えていると、あたしと胡桃の2人しかいない教室の扉が開かれた。
「あ……」
教室に入ってきたのは、水で髪を洗ってきたのか、ビチョビチョになった旭だった。
荷物を抱えてあたしをチラッと見ると、すぐに視線を逸らして自分の机に荷物を置いた。
「旭君?どうしたの?」
キョトンとしながら質問する胡桃に、旭は無表情で答える。
「んぁ?あぁ……部室狭いから」
何て答え。
部室って狭いのか?
あたし行った事ないから分かんないけど。
そう思っていると、胡桃は思い出したように手を合わせた。
「あっ!あたし今日友達と遊ぶ約束してたんだ」
そう言って胡桃は慌ててスクバを肩にかけて教室の扉の方に駆け足。
そして扉を開けると、あたし達に手を振った。
「じゃぁね」
「あ、バイバーイ」
……何か嵐が去っていった感じ。