Girls Kiss・『バレンタインのキス』
涙目で訴えかけてくる彼女を見て、思わずため息がもれた。

「分かった。ちょっと待ってろ」

「うん♪ 待ってる」

彼女を部屋に残し、わたしは台所へ向かった。

…いざ作ってみると、結構難しかった今年のチョコ。

それでも食わせないワケにはいかないだろう。

深呼吸をして、お盆に乗せて部屋に戻った。

「おっお待たせ」

「うん! 今年のバレンタインは何?」

キラキラと輝く笑顔の彼女の前に、わたしは置いた。

「今年はチョコ大福に挑戦してみたんだ。大福も好きだろう?」

「うっれしー! もちろん、アタシはアンタの作るものなら何だって好きだって」

満面の笑顔でそう言うと、彼女はとっとと食べはじめていた。

3つも作ったのに、あっという間に食べて、食後の抹茶ミルクを美味しそうにすすっている。
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