てがみ
篠原は美術部の部室で、1人黙々と、空を描いていた。
友達の安川(やすかわ)が、言っていた。
「あいつ、空しか描かないんだ」と。
それで興味が湧いた。
安川も篠原も、高校1年の時から美術部に所属しているそうだが、安川の話では今まで空以外の何かを描いている姿を見たことがないとかで。
「何で空しか描かないの?」
まともに話しかけたのが、この時だった。
彼女はちょっと不機嫌そうに俺を一瞥してから、ぽそっと応えた。
「空が好きだから」
俺から目を離し、彼女は絵筆を手にした。
青い絵の具を絵筆に取り、下書き状態だったキャンバスに躊躇なく色を乗せていく。
壮観だなと素直に思った。
「俺も空、好きだぜ」
「…本当?」
「うん、昼間より夜空の方が好きだけどな」
「へぇ…私は、いつでも好きだけど、昼間の方が表情がわかりやすいから、昼間の空の方が好き」
少し間を置いてから、もう一度俺の方を見て、くすっと笑った。
あ、思ったより感じ悪くねーな…
そんな風に、思った。
前に描いた空を見せてもらったり、持ってる写真集を貸してもらったり、それなりに仲良くなった。
友達の安川(やすかわ)が、言っていた。
「あいつ、空しか描かないんだ」と。
それで興味が湧いた。
安川も篠原も、高校1年の時から美術部に所属しているそうだが、安川の話では今まで空以外の何かを描いている姿を見たことがないとかで。
「何で空しか描かないの?」
まともに話しかけたのが、この時だった。
彼女はちょっと不機嫌そうに俺を一瞥してから、ぽそっと応えた。
「空が好きだから」
俺から目を離し、彼女は絵筆を手にした。
青い絵の具を絵筆に取り、下書き状態だったキャンバスに躊躇なく色を乗せていく。
壮観だなと素直に思った。
「俺も空、好きだぜ」
「…本当?」
「うん、昼間より夜空の方が好きだけどな」
「へぇ…私は、いつでも好きだけど、昼間の方が表情がわかりやすいから、昼間の空の方が好き」
少し間を置いてから、もう一度俺の方を見て、くすっと笑った。
あ、思ったより感じ悪くねーな…
そんな風に、思った。
前に描いた空を見せてもらったり、持ってる写真集を貸してもらったり、それなりに仲良くなった。