てがみ
『こちら受付ですー、あと10分で退室のお時間となりますがー』


受話器越しに、女の人の淡々とした声が聞こえた。
ぱっと、自分の左腕に目をやると…


「9時半?あれっ、入ったの5時半くらいですよね?」


確か3時間コースだったはずだぞ?
だとしたら今は8時半のはずだけど…


『ええ、お客様5時25分入室で3時間コースでしたが、先ほど同室のお客様から1時間延長と…』


延長?
くるっと首だけ回して瑠衣の方を見ると、着衣を整えながら俺に視線に気付き、ペロッといたずらっ子のように舌を出して見せた。


確信犯か…


「あー、もう延長はないです、これから出ます」


『かしこまりましたー』


ガチャ、と受話器を元に戻し、無意識に外していたベルトを締めた。
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