てがみ
母さんの作るカレーライスには、生姜が入っている。
肉は鶏肉で、辛口と中辛のブレンド。


うん、うまい。


「涼介、今日はハードだったみたいだなぁ、柴田からフォローのメールがきてたぞ」


三口くらい食べたところで、おもむろに親父が言った。
柴田と言うのは店長の事だ。


「ああ、うん、まあ」


「だから死んだみたいに寝てたのか」


俺の相槌に、あっという間に一皿食べ終えた悠太が反応した。


「良かったー、俺別のとこで」


続けて一言。
悠太が高校入学した時、同じ店でのバイトを親父に進められたが、頑なに拒否したのだ。


結局、自分で探して今はカラオケボックスの店員をしてる。


「ハードで思い出したけど、母さん、焼き菓子貰ったんだ…いる?」


< 64 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop